調査結果
指定鯨類科学調査法人・一般財団法人 日本鯨類研究所が南極海におけるクジラや海の様子を調査いたしました。
調査目的
・大型のクジラにおいて、資源量推定に必要な目視データを収集すること
・鯨類の資源管理に有用な移動経路や繁殖海域の推定および個体や系群の識別情報を収集すること
・海洋観測を行い鯨類の生息環境を明らかにすること
など
本調査の結果はIWCや南極海洋生物資源保存委員会(CCAMLR)といった国際機関の科学委員会に提供する予定です。
調査期間
(1) 距離角度推定実験
目視観察者ごとの鯨類の発見角度と距離の推定精度を求めるために距離角度推定予行演習ならびに本実験を実施。
(2) 個体識別写真撮影(個体数)
シロナガスクジラ 20頭、ザトウクジラ 41頭、シャチ 1頭
(3) バイオプシー試料採集(個体数)
シロナガスクジラ 8頭、ナガスクジラ 15頭、クロミンククジラ 14頭、ザトウクジラ 16頭、ニタリクジラ 1頭
(4) 衛星標識装着実験
ナガスクジラ 7頭、クロミンククジラ 10頭に対して衛星標識を装着しました。
(5) XCTD(投下式塩分水温深度計)による海洋観測
観測点 99ヵ所で水深0m~1,850mまでの水温と塩分濃度を測定しました。
(6) ドローンを活用した予備実験
ドローンを使用して鯨類の体長計測、肥満度計測および遊泳行動の観察を目的とした予備的な撮影実験を行いました。 シロナガスクジラの撮影に成功した他、ナガスクジラ、クロミンククジラ、ザトウクジラ等を撮影しました。
(7) 潜水行動タグの装着予備実験
鯨類の潜水行動を記録するデータロガーの装着技術の開発を目的とした予備的な実験を行い、ザトウクジラ2頭に装着しました。
(8) 海洋漂流物(マリンデブリ)観察
本年度は、南極海の調査海域において、海洋漂流物の発見はありませんでした。
調査結果
鯨類の資源量推定に必要な一貫性のある目視データを含む非致死的調査データの収集に成功。 調査からは、従来の知見と同様、シロナガスクジラをはじめ、クロミンククジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラの複数鯨種が同一海域を摂餌海域として利用していることや、ナガスクジラ及びザトウクジラの資源の回復傾向がより明らかになりました。 さらに、希少種とされるシロナガスクジラも複数発見され、同資源の順調な回復が示唆されました。
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詳しい内容は下記にて発表しています。
指定鯨類科学調査法人 一般財団法人 日本鯨類研究所 リリース
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