耳ヨリくじら情報
11月17日、地域住民が毎年楽しみにしている「巣鴨くじら祭り」が例年通り開催されました。会場となったのは、昨年同様、巣鴨地蔵通り商店街入口に立地する「眞性寺(しんしょうじ)」です。
平成25年に、9月4日の「クジラの日」を広く周知する目的で、前日の9月3日に開催されて以降、新型コロナウイルスの影響によるオンライン開催を挟みつつも運営が続けられていたことから、この地のお祭りとしてしっかり根付いてきたようで、今年は例年に増して多くの老若男女が来場。
事前に作品が募集されていた「くじら川柳」の入選作品展示や、“クジラのまち”として知られる下関市や太地町の紹介など、午前中から、さまざまな展示を目当てにした来場者で溢れかえっていました。
小さな子どもやその親を対象とした「クジラ・ワークショップ」では、『日本鯨類研究所』の早武真理子さんが講師を務め、ヒゲクジラ・ハクジラの特徴や、それぞれの代表的な鯨種の生態などのほか、鯨肉の栄養素についても解説。抗疲労効果が期待できるバレニンや鉄分、DHA、EPAなどが豊富に含有されているとの説明に、子どもたちだけでなく親御さんも興味津々の様子でした。また、「給食でクジラを食べたことがある人?」の質問に元気よく挙手する小学生もたくさんいました。
ちなみに、平成28年より「巣鴨くじら祭り」の共催者である『NPO海のくに・日本』は、日本各地の小学校でクジラについて学べる授業をおこない、鯨肉メニューを楽しめる給食を用意するなどの活動を続けています。2024年には約半世紀ぶりにナガスクジラの商業捕鯨も解禁となったので、給食でナガスクジラを楽しめる日も近いに違いありません。
「クジラ・ワークショップ」に続いては、恒例となっている「くじらちびっこ寄席~くじら落語ワークショップ」がスタート。こちらのワークショップにはなんと、『共同船舶株式会社』の所英樹社長まで飛び入り参加。
お客さんの前に立った所社長に対して、最前列に座っていた小学生が「クジラを食べ続けると絶滅しませんか?」と問いかけると、100年間捕鯨を続けてもクジラの頭数が減らないよう、水産庁の主導で鯨類資源量をもとにクジラの捕獲可能量を算定して、その量を超えないように捕鯨を続けていることを説明しました。
これを皮切りに次々と質問を投げかけられると、子どもたちの勢いに所社長もたじたじ。横で見ていた金八師匠が、「巣鴨の子どもたちは偏差値が高いんですよ!」とフォローする姿も見られました。これに対抗して所社長が、「クジラの1日の食事量はどのくらいでしょう?」と質問すると、子どもたちは一斉に「体重の4%」と即答。驚く所社長に対して、「だって、さっきワークショップで教えてもらったもん」と子どもたちが明かした通り「クジラ・ワークショップ」を熱心に聴いていた子どもたちはたくさんの知識を吸収していたのでした。
「くじらちびっこ寄席~くじら落語ワークショップ」後半では、金八師匠自作のビンゴカードが配布され、お楽しみのビンゴ大会がスタート!
5×5マスのビンゴカードは、1列目=鯨種、2列目=クジラの部位や、鯨肉から摂取できる栄養素、3列目=クジラと縁の深い地名、4列目=「クジラをモチーフにしたご当地キャラクター」および「“クジラ”という言葉が名前の一部に入った生き物」、5列目=鯨肉が主役の料理で構成。
クジラをモチーフにしたご当地キャラクターとしては、小笠原諸島の「おがじろう」、和歌山県太地町の「ヨーホエル」、仙台市のガス局による仙台市ガス事業100周年キャラクター「ガスじろう」、愛知県碧南市に立地する『チャレンジランド』の「くじ丸くん」などが読み上げられました。
また、「クジラ」のワードが名前の一部に入った生き物として、「山クジラ」が読み上げられましたが、はたしてこれはどんな生き物でしょうか?
正解はイノシシ。クジラがまだ魚だと思われていた江戸時代後期、肉食が禁じられていたことから、猪の肉を食べさせる店では、「山くじら」という隠語を看板に表記して、客を招き入れていたのだそうですよ。豆知識としてインプットしておくと、周りのみんなの「へー」を聞くことができそうですね。
なお、ビンゴ大会の上位入賞者には、クジラのキャラクターが採用されていることで有名な「おっとっと」がプレゼントされました。
ビンゴ大会後には、金八師匠による寄席やくじら踊りを挟んで、「くじら川柳2024」の大賞・入選作品の表彰式を開催。子どもの部においては、青木綾佑さんの「てんたかく げんきいっぱい しおをふく」が三遊亭金八選の大賞、柁原宗佑さんの「新総理 クジラのように およげるか」がNPO法人海のくに・日本選の大賞、吉田茉莉さんの「くじら汁 早く食べたい 4時間目」が日本鯨類研究所選の大賞を受賞しました。
また、お昼ごはんの時間帯には、事前申し込みの抽選当選者などを対象に「くじら弁当」もふるまわれ、炊き込みごはんと竜田揚げのセットを笑顔で受け取る来場者で溢れかえっていました。
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