耳ヨリくじら情報
2024年7月24日(水)~26日(金)に開催された「第10回国際ドローン展/メンテナンス・レジエンス TOKYO 2024」にて『(一財)日本鯨類研究所』が出展し、実用機「飛鳥改五 二型」や水素燃料飛行実験機「飛鳥改五 丙二型」(以下、「飛鳥改五 H2」)」について展示しました。
会場では、ドローン展のほかに空間地理情報特集や建設ロボット展など12の専門展示会と3つの特別企画が同時開催されていたのもあり、様々な職種の方が訪れるなどして賑わいました。
今回展示された「飛鳥改五 二型」は、実際に実用機として南極海の調査に投入され、長距離航空調査実験を行い、電動機として世界最長クラスのワン・フライトでの飛行距離を達成しています。
水素を活用した燃料電池『水素燃料電池システム』
「飛鳥改五 二型」を含む自立型無人小型航空機の多くは、リチウムイオンバッテリーを搭載しているのですが、それに変わる手段として、水素と大気中の酸素を反応させることによって電気を生成する『水素燃料電池システム』を搭載した「飛鳥改五 H2」を開発。
こちらは、2025年春までの実用化に向け2020年から開発・研究が重ねられ、昨年より実証実験がスタートされました。
「VTOL-UAV 飛鳥」誕生のきっかけ
海氷に囲まれた不凍域や岩礁や漁具の多い沿岸域などは調査船が航行できないため、補完するべく新たな鯨類調査手法として航空目視調査の活用を目指しました。
調査船の甲板から直接離発着する「VTOL-UAV 飛鳥」の開発を2019年より開始し、現在では、航続距離100km(洋上での実績104km)、最高速度160km/h(長距離飛行時・巡航速度90km/h)の実用機「飛鳥改五 二型」が完成しています。
最終目標スペックは、搭載重量10kg時に航続距離200km以上。また、飛行中に万が一異常が生じた場合も堕落することなくバックアップ手段が機能して、安全に降下し地面に着陸できるシステムを実装し、高圧ボンベの破裂や火災といった事故が生じないよう、安全装置も追及されています。
この目標が達成されると、今後の鯨類航空目視調査のデータ収集の効率化はもちろん、それ以外での多目的な用途での運用につながることも視野に入れています。2024年中には経産大臣特認の取得など各種認証取得へ準備を進めています。
さらに、AIを用いて空撮映像からクジラの判別をおこなうための研究にも取り組んでいるとのことで、今後進化した「VTOL-UAV 飛鳥」を見られるのが楽しみですね。