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ホエールウォッチングなど新たな観光資源に
東京からフェリーで約6時間30分、飛行機で約50分の距離にある三宅島。釣りやバードウオッチングなど自然を生かしたアクティビティーが人気のこの島でここ数年、冬から春先にかけて、ザトウクジラの目撃情報が増えている。そこで観光協会などがホエールウオッチングを新たな観光資源にしようと活動を始めている。
これまで小笠原や八丈島はザトウクジラの来遊があり、ホエールウオッチングもすでに観光の目玉となっていたが、ここ数年、三宅島沖にも姿をみせるようになった。急に来遊が増えた要因を探ろうと、2021年の冬から日本鯨類研究所も調査に乗り出し、現在も同観光協会との調査が進められている。
日本鯨類研究所の松岡耕二理事は「複数の要因が考えられるが、全体の生息数が増加したことで来遊する範囲が広がっているのではないか。親子のザトウも見られ、小笠原周辺で出産し、三宅島に寄り、春になると餌を求めて北上している可能性がある」と推測している。
ザトウの来遊が増加したことで観光協会は観光資源として生かそうと取り組みを開始。地元の人にザトウについて知ってもらうため、2月には観光協会主催の「ザトウクジラ・フォーラムin三宅島」(日本鯨類研究所共催、三宅村協力)を初めて開いた。フォーラムでは、日本鯨類研究所の北太平洋調査の情報や、すでにホエールウオッチングが定着している小笠原や奄美大島、八丈島の状況などが紹介されたほか、三宅島での目撃情報の提供や参加者が実際に外に出てホエールウオッチングを行った。三宅島のザトウに関する情報収集では、日鯨研が撮影のポイントやデータの取り方など技術面でサポートしており、今後、東京海洋大学との共同研究も進めていく。
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