【くじらコラム】100年間資源に悪影響を与えない 持続可能な捕鯨のために(日刊水産経済新聞2023年8月30日掲載) | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2023.08.31

【くじらコラム】100年間資源に悪影響を与えない 持続可能な捕鯨のために(日刊水産経済新聞2023年8月30日掲載)

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 商業捕鯨再開後、水産庁主導で鯨類資源量を基に改訂管理方式(RMP)でクジラの捕獲可能量を算定し、年間の捕獲枠を毎年公表している。RMPは100年間資源に悪影響を与えないレベルの捕獲可能量を算定する方式であり、国が公表している枠内であれば鯨類資源を保ちつつ、持続的な利用が可能になる。コラムでは鯨類資源と捕獲可能量について分かりやすく解説する。

水産庁資料から

RMPによる厳しい算出方法で枠を設定

 RMPは、1992年に国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会で開発され、94年にIWC総会で採択された、ヒゲクジラ類の捕獲可能量を算出する管理方式。この方式で出る捕獲可能量は推定資源量の1%未満といわれる。日本沿岸の資源管理に適用される方法であれば、漁獲可能量は推定資源量の「3~30%程度」(水産庁)と非常に厳しい算出方法であることが分かる。RMPを用いるメリットは、資源量と過去の捕獲頭数だけから算出でき、かつ、初期資源量や死亡率、環境の変化など情報が不確実であっても算定できる点。

枠算出に重要な資源調査(日本鯨類研究所提供)

 また捕獲枠の算定に至っては、死亡率や増加率などさまざまな可能性を想定し、何通りかのシナリオをつくり、100年間RMPで算出された枠で捕鯨するシミュレーションを行い、すべてのシナリオで資源に悪影響のないものを採用。6年ごとに新たなデータを加え枠の見直しを行うことで、想定外の資源の変動にも対応できるようにする。

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