耳ヨリくじら情報
「クジラは本来、日本人の食卓に当たり前にある食べ物」という考えのもと、クジラを筆頭とする海の幸から、ハムカツや浅漬けといった定番のおつまみメニューまで豊富にそろえている居酒屋『樽一』。しかも、宮城の銘酒「浦霞」を初めて東京で扱ったお店です。現在でも、同店でしか飲めない「浦霞 金ラベル~樽一限定 原酒~」をはじめとする魅力的なお酒がさまざまに用意されていることから、おいしい食べ物やお酒が大好きな方々に、長年愛され続けています。「長年」とはどのくらいかというと50年以上。高田馬場で創業後、現在は新宿に店を構える同店は、2022年12月で創業55年目を迎えました。
捕鯨船の船長になるのが夢だった一代目が、地元・宮城の海の幸やクジラのおいしさを広めたいと開店
二代目の店主を務めるのは佐藤慎太郎さん。一代目店主であるお父様を手伝うべく、学生時代より同店で働き始めたといいます。一方、お父様が同店を立ち上げたのは社会に出てしばらく経ってから。宮城県東松島市生まれのお父様の子どものころの夢は、捕鯨船の船長になること。成長してからもクジラへの情熱は冷めることなく、上京して日本大学の水産学科で学んだ後、『鯨類研究所』に入所したそうですが、その後、いくつかの会社勤めを経て、1968年、「東京で暮らす人たちに、三陸の海の幸やクジラのおいしさを伝えたい」との想いから、『樽一』をオープンするに至ったのです。
日本の食文化であるクジラを気軽に食べてもらえる、特別価格のメニューを用意
その想いを受け継いだ慎太郎さんは、「まずは日本の食文化であるクジラを気軽に食べてほしい」と、クジラのさまざまな部位を盛りつけた「樽一名物 鯨刺し盛り」を特別価格で提供しています。脂肪分が少ない「赤身」、舌の部分である「さえずり」、あごの関節を覆う「鹿の子」、黒皮とその内側の白い脂肪分までの「本皮」、上あごと下あごの間の部位「美脂(びし)」、希少部位「尾の身」、コリコリした食感の「ハツ」、そして自家製ベーコンまで入って1人前1,800円(税込み)。まずはこの一皿で飲みながら、次に何を食べるのか考えるのもよさそうです。
もちろん、刺し盛りのなかに気に入ったものがあれば、それを単品でおかわりするのもアリ! おかわり率が高いもののひとつが、ごま油と塩で和えたハツ(写真上/単品1,320円〈税込み〉)で、食べた人は口々に「レバ刺しみたい!」と驚くのだそうです。
4つの部位の食べ比べも楽しい「ハリハリ鍋」でお酒がさらに進む!
(2人前)
そして、通年メニューではありますが寒い時期に特におすすめなのは、たっぷりの水菜とともに楽しむ「鯨ハリハリ鍋」(写真上/2,980円〈税込み〉)。赤身、さえずり、本皮、美脂の4つの部位が美しく盛りつけられた大皿が登場しただけでもテンションが上がります。
食べ方は基本お好みですが、さえずりを先に投入してしっかりと火が通るのを待ちながら、赤身、本皮、美脂はしゃぶしゃぶ程度に湯通しして水菜と一緒にお出汁でいただくのがおすすめ。クジラといえば抗疲労成分「バレニン」を筆頭に身体にいい成分を豊富に含有していることで知られていますが、なかでも本皮はオメガ3系多価不飽和脂肪酸含有率が多く、健康・美容効果も期待できます。また、融点が低く口中に脂っぽさが残らない美脂の口当たりは病みつきになりますし、さっぱりとしてヘルシーな赤身、ぷりぷり食感のさえずりとの食べ比べも存分に楽しめます。なかには、さまざまな部位を食べることで、「クジラって部位によってこんなに味や食感が違うんだ!」の発見にとどまらず、部位ごとのお酒との相性まで楽しむ人もいるかもしれません。
日本人の食文化をしっかり守って、後世に引き継いでいきたい
さらに、「アルコールが苦手な人にも楽しんでもらえるように」、甘酒を注いで回って挨拶に行くという慎太郎さん。そこで会話を通して、クジラへの見識を深めることも醍醐味のひとつ。混んでいるとき以外であれば、気軽に会話もできそうです。
同店の入口やホームページには、「食は理屈ではない 人間の存在そのものである そしてその民族の文化である」という先代からのメッセージが掲げられていますが、その思想通り、クジラを「当たり前のもの」として楽しめる空間を提供し続けることで、日本の食文化を守り続けているのですね。クジラへの熱い想いを慎太郎さんとシェアしたい人はもちろん、クジラに興味があるけどまだ食べたことがない人も、ぜひ気軽に同店に足を運んでみてくださいね。
■樽一
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-2-9 B1F
営業時間:17:00~22:00(L.O21:00)