四日市市特集 〜鯨船行事と富田の町〜 | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2022.08.03

四日市市特集 〜鯨船行事と富田の町〜

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ユネスコ無形文化遺産に登録された、三重県四日市市で毎年行われる「鯨船行事」をご存知でしょうか?お祭りが盛んなことで知られる四日市市、実はくじらと深い関わりを持っていました。今回はそんな鯨船行事と四日市市内の町について、現地へ取材に行ってきました!

鯨船行事が行われる地域の最寄り駅「三岐鉄道富田駅」(近鉄との共同使用)の駅舎はなんとくじらの形をしています!駅舎の窓がくじらの目に、頭には潮吹きの表現もされているほど本格的です。

鯨船行事とは、三重県の北勢および熊野で行われる、捕鯨を模した「捕鯨習俗を伝える」お祭りです。熊野地域では実際に船を漕ぎ出しておこなわれますが、今回取材した北勢地域の四日市市では陸上で豪華な装飾や彫刻で飾られた船形山車で模擬捕鯨を行います。

まずお邪魔したのは、鯨船行事が奉納される鳥出神社。こちらの境内で各組が順番に奉納し、鳥居の外では順番を待つ組が演技を披露します。富田は漁師町ですが捕鯨の文化はなく、イワシ漁が盛んだったそうです。しかし、お祭り好きで有名な四日市市は、知多半島などで行われていた捕鯨の技術を持ち帰り、くじらを「大漁」と「豊貴」の象徴に見立てお祭りを行ったと考えられています。

富田では地域で分かれた北島組、中島組、南島組、古川組の4組がそれぞれ所有する鯨船山車を繰り出し、各町内や島出神社で模擬捕鯨を行います。本日はお祭り前ということで、なんと飾り付けを終え準備万端の中島組の山車を見せていただくことができました!

山車専用の倉庫を開けると、なんとも煌びやかな鯨船が!船の先端にかかる大きなサガリと呼ばれる縄の大迫力に圧倒されました!中島組の装飾は龍が多いことが特徴で、至る所に龍の装飾が見られます。船の横に取り付けられている横幕には立派な金の龍が刺繍されています。

船山車のとなりには行事に使われる張りぼてのクジラが!大人4人~5人、時には1人で担ぎ上げ、町内を駆け回り船との攻防戦を繰り広げます。毎年くじらの演技力の高さが評判だそうで、まるで本当の捕鯨をみているかのような臨場感が味わえるとのこと。船山車だけではなくくじらの演技も注目ポイントですね!

船上の一番前には形の違う三本の銛が掲げられています。実際に捕鯨の際使われていた銛を模したもので、とてもこだわりを感じます!

中島組の山車の特徴は、屋根にあります。他の山車の屋根は金一色なのに対し、中島組のものは緋羅紗に飛龍の刺繍がされています。これは太陽の日の中で舞う飛龍を表現しているのだとか!隅々まで繊細に彫られた彫刻も目を惹きます。

さらに横幕に刺繍されている龍は、正午に海を渡る龍を描いているのだそう。横幕は組によってそれぞれ異なる時間帯の海が描かれていて、北島組は豊穣な午前の海、中島組は正午の海、南島組は荒れる午後の海がそれぞれ表現されています。お祭りでは各船山車の横幕も見どころですね!

山車に乗り鯨を仕留めるの羽刺し(ハダシ)を務めるのは小学生の子どもです。これはかつて漁師一家の後継ぎが一人前の漁師になるための通過儀礼として務めていたことの名残とされています。

行事の際に船を横に大きく揺らし、耐えられた者が晴れて一人前として認められるわけですね!

新型コロナの影響で2年間中止(その前は台風により中止)になっていたこのお祭り。今年は無観客で規模を縮小しながらも開催されるとのことで、中島組の皆さんはより一層気合を入れて準備をされていました。

今回は中島組の船山車を見せていただきましたが、それぞれの山車で装飾が異なるのもこの行事の見どころ。お祭りに参加された際にはぜひ、見比べてみてくださいね!

続いて鯨船行事が行われる四日市市富田の町もご紹介いただきました。特徴は趣あるなんとも可愛らしい街並み。築100年を超える木造家屋が並びます。漁師町ともあって、小さい道が海に向かって一直線に敷かれています。これはかつて大きな地引網を町の人々総出で浜辺から真っ直ぐ引いていたためなんだとか!住宅が並ぶ道を少し散歩しただけで、その土地の歴史を感じられるなんてとっても素敵ですよね!

近鉄富田駅から少し歩いたところにある和菓子屋さんの「清華堂」には鯨船どら焼きが販売されています!中は白餡で大きいお豆がとってもボリューミーです。そのほかにもくじらの絵が焼かれた窯出しカステラやモナカなど、くじら関連の和菓子も四日市市の名物です!ぜひ一度チェックしてみてくださいね!

▶概要
鳥出神社の鯨船行事 鯨船まつり

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