耳ヨリくじら情報
千葉県南房総市の道の駅『富楽里(ふらり)とみやま』にて、10月18日、ツチクジラ竜田揚げの試食会イベントが開催されました。
ツチクジラは南房総の人たちにとって馴染み深い食べ物
「ツチクジラ」とはハクジラの一種。ハクジラ類の中ではマッコウクジラに次ぐ大きさで、体長はおよそ12メートルにも達します。南房総市和田町の漁港では、古くからツチクジラが水揚げされてきたため、近隣に暮らす人たちにとってはとても馴染みのある食べ物なのです。
そのため、イベント開始前には、会場前に今か今かと試食を待つ人の列ができたほど。いざ配布が始まると、小さな子どもから年配の方まで笑顔で竜田揚げを受け取っては、「おいしい!」「やわらかい!」と笑顔を見せていました。
家族の食卓にも宴会場にも登場するほどクジラ料理が浸透
親子で訪れていた方に話を伺うと、「南房総に住んでいる人にとって、ツチクジラは当たり前のように食べられているもの。お姑さんもしょっちゅうクジラ料理を作ってくれるし、地元のお店で開かれる宴会なんかでも必ず登場しますよ」と教えてくれました。
この日供された竜田揚げは、醤油ベースのシンプルな味付け。生姜とニンニクがしっかりと効いていて、ごはんのおともとしてもお酒のアテとしても相性がよさそう。思わず、「おかわり」と言いたくなるおいしさでした。
機能面に注目が集まりがちなクジラだけど、シンプルに「おいしい」ということを知ってほしい
イベントの主催は、Facebookで『クジラをもっと知りたい!』のファンページを運営している森山利也さん。築地場外市場にある『JOJO BAR』では料理人としてクジラを振る舞うなど幅広く活動されている森山さんは、「クジラのおいしさももっとたくさんの人に知ってほしい」と、これまでにもさまざまなイベントを開催してきています。
クジラ肉の試食を楽しめる「食べて知る…クジラの魅力!」イベントも今回で3回目 となるため、試食後のアンケート回答者へのプチ土産に、千葉県の銘菓「鯛せんべい」を用意するなど工夫もいっぱいです。
「クジラはバレニンが豊富ということで、最近は機能性が注目されがちだけど、栄養にだけあやかりたいならサプリメントで済んじゃいますよね? そうでなく、もっとクジラを食肉としても味わってほしいです」と森山さん。
南房総市の小・中学校では、学校給食にもクジラ料理が登場
今月16日には、南房総市の嶺南小学校および嶺南中学校の学校給食でもクジラ肉を使った献立が提供されたほか、小学校高学年の児童らは、漁港で解体を見学する機会を得たことなども教えてくれました。
「クジラは南房総の人たちにとって、普通にそのへんのスーパーに売っているもので、決して特別なものじゃないんです。だからこそ、食文化を受け継いでいってほしいし、なによりもまず、クジラのおいしさを知ってほしいですね」と想いを明かしてくれました。
おいしいクジラを無料で楽しめる「食べて知る…クジラの魅力!」。ほかにもさまざまなイベントを構想中とのことなので、次回の開催が楽しみですね!