耳ヨリくじら情報
「日本鯨類研究所」は、鯨類およびその他の海産哺乳類の調査および水産資源の持続的な利用に寄与し続けている指定鯨類科学調査法人/一般財団法人です。
広報活動の一環として、クジラに関わるイベントや特別展示に関わることも多いためか、設立当初より様々な寄贈品が寄せられている他、職員たちも、旅先や出張先で珍しいクジラアイテムを見つけると、ついつい購入してしまうのだとか。
そのため、今や同研究所には古今東西のユニークなクジラアイテムがバラエティ豊かにそろっています。そこでこのコーナーでは、鯨類研究所の収蔵品などを少しずつご紹介。第一回目の今回は、クジラのヒゲを原料にした工芸品をお見せしましょう。
「ヒゲ」と聞くと、犬や猫のように鼻の周りにヒゲが生えているのかと思ってしまいそうですが、クジラにはクシのような形のヒゲが上あごから200-400枚が口の中に生えています(写真上)。クジラは、全14種の「ヒゲクジラ」、全75種の「ハクジラ」の2つの仲間に分けられますが、このうち「ヒゲクジラ」に該当するものだけが、口の中に三角板状のろ過板である「クジラヒゲ」を有しています。このヒゲはなんのために生えているかというと、エサとなるオキアミや小魚を海水から濾しとるフィルターの役割を担うためです。主成分は私たちの爪と同じケラチンというたんぱく質。とても軽く、ある程度の硬さや弾力性があるため、古くから様々なものに利用されてきました。有名なものにはからくり人形のぜんまいがあります。
こちらは、ミンククジラのヒゲを加工して、船の帆の躍動感を表現した置物。
鯨種の差によるヒゲの色の違いも、そのまま作品の味になっています。左の船の帆がナガスクジラまたはミンククジラのヒゲ、右がミンククジラのヒゲを使っています。左右ともに黒い船本体はイワシクジラのヒゲを使っています。
近くで見ると、自然の模様の美しさにも惚れ惚れさせられますね。
こちらのエンゼルフィッシュも、ナガスクジラのヒゲが材料です。
エンゼルフィッシュ下の波のようなデザインも同様に、クジラのヒゲで創られています。
こちらは、ナガスクジラのヒゲを加工した器とピックのセット。なんとこちらは天皇陛下献上品とのことです。
ピックの収納部分にも、よく見るとクジラがデザインされています。 あしらいが粋ですね。
お次は、クジラのヒゲを使ったペーパーナイフ。顔の部分を持って使います。
こちらはクジラのヒゲが原料のアイテムの中でもレアな一品の信玄袋です。袋の下半分の籠部分にクジラのヒゲを細く割いて編んだものが使われています。
こちらは、網取り式でクジラを捕っていた時代の捕鯨舟を模したもの。「勢子舟」という、江戸時代の捕鯨船です。当時の捕鯨の船団は、モリを突く担当が乗る「勢子舟」の他、網を張る担当の「網舟」などで構成。舟に描かれた模様によって、その舟に乗る人の役割が決まっていたんだとか。
ラストは、ナガスクジラのヒゲで創ったクジラの置物。まるっとしたフォルムがなんとも愛らしい一品です。
天然の色味を生かしたクジラヒゲアイテムの数々、いかがでしたか? 玄関やリビングに飾ると、それだけでも家の雰囲気が格上げされそうなデザインのものも多いので、自宅に合いそうな一品を探してみるのも楽しいかもしれません。最近では、ヤフオク! やメルカリでも出品されることが多いので、気になる人はぜひ探してみてはいかが?
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