耳ヨリくじら情報
唯一無二の大きさやユニークなフォルムが魅力的なクジラは、昔から、映画や小説などのエンターテインメント作品の題材としても取り上げられてきました。今回はその中から、「クジラが登場する絵本」をピックアップしてご紹介。子どもと一緒に楽しむのはもちろん、大人が読んでもワクワクする作品もたくさんありますよ♪
1、『くじらのあかちゃん おおきくなあれ』
はじめにご紹介するのは、『くじらのあかちゃん おおきくなあれ』。
旭山動物園に25年間、飼育係として勤務したあべ弘士さんが描く、躍動感いっぱいのクジラたちの絵が印象的な一冊です。
物語が幕を開けるのは、ある三日月の夜のこと。出産を間近に控えたおかあさんクジラに、おつきさまが話しかけるところからスタートします。「あかちゃんは どこに いるの」というおつきさまの問いかけに、「あなたが まあるくなったころに、きっと うまれてくるでしょう」というおかあさんクジラ。やがておつきさまがまんまるに太ったその晩、待望のあかちゃんが生まれてきました。
その日から、おかあさんやおにいちゃん、おねえちゃんと、大きな海でもぐっては浮かび、泳いではジャンプして成長していくあかちゃんクジラの姿に、ほっこりさせられる一冊です。
巻末には、文章担当の神沢利子さんが作詞を手掛けた同名楽曲『くじらのあかちゃん おおきくなあれ』の楽譜も掲載されているので、音楽が得意な人はぜひ歌唱も楽しんでみてはいかが?
書名:くじらのあかちゃん
文:神沢利子
絵:あべ弘士
出版社名:福音館書店
2、『くじらだ!』
続いては、世界中にファンを持つ五味太郎さん著作の『くじらだ!』をご紹介します。
物語の中で、タイトルにもなっている「くじらだ!」を最初に発するのは、なんと人間ではなく渡り鳥。のんびりと空を飛んでいたところ、眼下にくじらを発見! 近くにそびえていた建物のてっぺんに降り立ち、「くじらだぁ!」と叫び始めます。するとそれを聴いたひとりの博識なおじさんが、「みんなでくじらをつかまえよう!」と呼び掛けて……。
小さな村の住民たちが総動員で探した結果、一体クジラはどこにいたのでしょうか!? その答えは、ぜひ実際に本を手に取ってご確認くださいね。
書名:くじらだ!
作:五味太郎
出版社名:岩崎書店
3、『くじらさんのーたーめならえんやこーら』
続いてご紹介するのは、絵本作家の内田麟太郎さんが文章、アニメーション映画『頭山』で知られる世界的アニメーション作家・山村浩二さんが絵を手掛けた『くじらさんのーたーめならえんやこーら』です。
冒頭に登場するのは、海の上の氷山に横たわる巨大なクジラ……。と思いきや、近づいてみると、その周りには無数のペンギンやアザラシまでいます。
「くじらさんのー たーめなら」「えんやこーら」
そう言いながらペンギンやアザラシが海に飛び込むと、今度はトドやシロクマまで出てきて同じように「くじらさんのー たーめなら」「えんやこーら」と大合唱。
ペンギンやアザラシ、トドにシロクマたちは、果たしてクジラさんのために何をしようとしているのでしょうか? 気になるその答えは、絵本でお確かめくださいね。
書名:くじらさんのーたーめならえんやこーら
作:内田鱗太郎
絵:山村浩二
出版社名:鈴木出版
4、『くいしんぼうのクジラ』
続いては、とっても食欲旺盛なクジラが主人公の『くいしんぼうのクジラ』をご紹介。
「いただきます」が大好きで「ごちそうさま」が大嫌いなクジラは、来る日も来る日も食べまくり。とにかくいろんな魚を食べ続け、海の魚にはもう飽きた! と、おいしいものを求めて川までたどり着きます。
それでも満足できなくなると、陸地に目を向け、野菜や果物にも興味を示し始めるくいしんぼうクジラ。「うまい! うまい! りくには こんな うまいものが あるのか!」と大興奮です。しかし、それでもクジラの食欲は尽きることがありません。さらなるおいしいものを求め、遂に空を飛び始めて……!?
谷口智則さんによる奇想天外なストーリーは、最後まで展開が読めないところも大きな魅力。え? まさかこんな結末だったとは……! と驚かされること必至です♪
書名:くいしんぼうのクジラ
作:谷口智則
出版社名:あかね書房
5、『つきよのくじら』
最後にご紹介するのは、ハラハラドキドキの展開に手に汗握らされる『つきよのくじら』です。
空に浮かんだ月が明るく海を照らしていたある晩、くじらのぼうやはかあさんくじらに尋ねます。「おつきさまは どれくらい とおいの?」。するとかあさんくじらは「ああ、とうさんだったらわかるのに……」と一言。続けて、とうさんくじらの武勇伝を話し始めます。その話に熱心に耳を傾け、とうさんくじらに会いたい気持ちを膨らませていったくじらのぼうやは、大きくなってもその想いを断ち切ることができません。そして遂にある日、「せかいじゅうの うみを まわって とうさんを さがしてくるよ」と旅へ出発したのでした……。
作家の戸田和代さん、画家の沢田としきさんによる、ちょっぴり切ない冒険ストーリー。クジラ親子の絆に、心がじんわりとあたたかくなります。
書名: つきよのくじら
作:戸田和代
絵:沢田としき
出版社名:鈴木出版
■バラエティ豊かなクジラ絵本はコレクションしても楽しいかも!
イラストのタッチもストーリーもさまざまな5冊の絵本を紹介しましたが、クジラがモチーフの絵本はまだまだ他にもたくさんあります。暑くなってくるこれからの時期、クジラたちの海での生活を眺めれば納涼効果も期待できるかも!? 色使いも美しい絵本ばかりなので、ぜひ本屋さんで手に取ってみてくださいね。