耳ヨリくじら情報
日新丸、勇新丸それぞれの役割を解説した前半に続く潜入レポート第2弾。今回は、船内で乗組員たちがどのように過ごしているかをお伝えします。
■一度の航海は約3か月。途中入港は一切なし
日新丸と勇新丸によって構成される船団は、一度出港すると約2か月程度は陸地に戻ってきません。港に戻るまでの間、船員たちは毎日海の上で過ごすことになるため、一日の労働が終わった後も常に仲間たちと一緒です。
一日の労働時間は基本的に12時間。担当業務が終わった後は、仲間たちとお酒を楽しむこともあります。
とはいえ、鯨がいつ海上に出現するかは予測不可能。しかも、捕獲したら素早く解体・加工することが必須であるため、探鯨・捕獲業務の時間中は常にスタンバイ状態です。
■医療を担当する乗組員や調理を担当する乗組員もいる
発見した鯨が、捕獲してOKな鯨種であるかどうかを判断するのは「漁労部」の仕事ですが、その他にも船団にはさまざまな部署が存在します。
鯨を解体し製品にする「製造部」。航海士をはじめ、船の運航を担当しているのは「甲板部」。通信を担当しているのは「無線部」、エンジンや発電機を担当する「機関部」。調理を担当する「司厨部」、24時間怪我や疾病に対応する「医務部」なども存在します。ちなみに、万が一ケガ人を陸へ搬送することになった場合、それに付き添うのも、医務部の大切な仕事なんですよ。
■船上でともに暮らす仲間は家族のようなもの
ちなみに、これだけいろいろな部署がありますが、共に数か月間暮らしているため絆も強く、「船団は自分にとってもうひとつの家族」と言い切る乗組員もいるほどです。
食事もお風呂も寝るのも一緒。しかも現役でいる限りずっととなると確かに、「家族」と呼べるほど大切な存在になるのでしょうね。
日々の楽しみの食事は、食堂に集まっていただきます。船の上では安全や安定感が一番大切なため、椅子の座面は硬め。座り心地抜群とはいえませんが、食事時はいつも笑顔が絶えないのだとか。
また、船上生活において真水は貴重なため、浴槽にはすべて海水を使用。身体を洗い流すシャワーのみ、真水が供給されています。
寝起きする部屋に備えられた二段ベッドは、船が大きく揺れた際に落ちないよう、ベッドサイドガードが高めに設置されているのが特徴的。
大切な資源を無駄にしないための工夫、乗組員たちの安全を守るための工夫によって、船での生活は守られているのですね。
【前編】