知る・学ぶ
この度、夏季(8-9月)の北西太平洋における鯨類資源調査を実施しました。 昨年7月1日の大型鯨類を対象とする捕鯨業の再開に伴い、北西太平洋における鯨類の資源状態の把握は更に重要度を増しています。 このため、今年度は、イワシクジラ、ニタリクジラ及びミンククジラの資源量推定を主目的として、日本沿岸を含む北西太平洋の広い海域において、調査船3隻(調査員6名)を動員した一斉目視調査を行いました。 こうした大規模な調査は、2008年以来12年ぶりになります。 さらに、今回の調査では、科学的知見に基づく国際的な鯨類の資源管理に貢献するため、ナガスクジラやザトウクジラ及び希少種であるシロナガスクジラやセミクジラを含む大型鯨類の分布状況や系群構造把握のための情報収集も行いました。
目視調査では、 総探索距離 7,073海里(約13,100 km)の探索により、シロナガスクジラやナガスクジラをはじめとしたヒゲクジラ亜目6種およびマッコウクジラ、シャチなどのハクジラ亜目2種の発見情報を収集しました。 最も発見群の多かった鯨種は、ニタリクジラ(320群418頭)であり、次いで、マッコウクジラ(237群598頭)、イワシクジラ(61群74頭)、ナガスクジラ(58群77頭)、シャチ(6群42頭)、シロナガスクジラ(4群4頭)、ミンククジラ(2群2頭)、ザトウクジラ(2群2頭)の順でありました。
各実験の結果として、シロナガスクジラ4個体、ザトウクジラ2個体、シャチ4個体の自然標識を撮影しました。 バイオプシーは、シロナガスクジラ2個体、ナガスクジラ12個体、イワシクジラ15個体、ザトウクジラ2個体から標本を採取。 衛星標識については、ナガスクジラ6個体、イワシクジラ11個体へそれぞれ装着を行いました。
今期調査で得られたデータ及び標本は、今後、国内外の研究機関との共同研究により分析及び解析が行われ、北西太平洋における鯨類の資源量推定に活用されるほか、系群構造の解明等の鯨類資源に関する研究の進展に寄与することが期待されます。 研究成果についての詳細は、来年以降のIWC/SCをはじめとする国際会議等において報告し、関連学会などで発表していく予定であります。