幻のクジラ「ツノシマクジラ」はどんなクジラ!?全身骨格標本が展示される『つのしま自然館』 | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2025.01.15

幻のクジラ「ツノシマクジラ」はどんなクジラ!?全身骨格標本が展示される『つのしま自然館』

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“くじらの街”とも言われる山口県下関市。近代捕鯨発祥の地とされ、2024年には下関の造船所が建造を行った新捕鯨母船「関鯨丸」が話題になったことでも記憶に新しい場所です。

下関市の西側にある離島の角島はコバルトブルーの海と白い砂浜に囲まれた自然溢れる島です。本土と角島をつなぐ「角島大橋」が“美しすぎる”とたびたび話題になるほどの絶景を楽しむことができる場所です。

そんな角島内にある『つのしま自然館』には角島で発見された新種のクジラ「ツノシマクジラ」の全身骨格標本や角島の自然についての展示をメインとした自然館です。

館内に入ると施設の真ん中を泳ぐツノシマクジラの骨格標本がお出迎えしてくれます。

3Dプリンターで作成されたツノシマクジラの透明骨格標本

日本で最初に発見された幻のクジラ「ツノシマクジラ」

ツノシマクジラは1998年9月に角島の海士ヶ瀬で帰港中の漁船と約11.5mクジラが衝突し、その際に死んでしまった1頭のヒゲクジラの個体を国立博物館の山田格博士をはじめとする専門家が調査研究し、外部形態、骨格、ミトコンドリアDNAについての研究を進めた結果,このクジラがナガスクジラ科の未知の種という事が明らかになり、2003年に英国の科学雑誌「ネイチャー」に新種として記載されました。
ツノシマクジラ(学名:Balaenoptera omurai、英名:Omura’s whale)は、現在も目撃例が少なく生態についてはほとんどわかっていない事から“幻のクジラ”と呼ばれています。種小名は日本の高名な鯨類学者である故大村秀雄博士(元鯨類研究所所長)にちなんで名付けられました。

ツノシマクジラはナガスクジラに似た模様をしていて、近縁のクジラはイワシクジラやニタリクジラになります。
見た目の特徴としては、1つ目は体色が左右非対称で腹面は白色ですが、左胸部(喉のあたり)だけ黒色。2つ目はヒゲ板の枚数が片側で約200枚となり、他のナガスクジラ科のクジラが300枚程度あるのに比べ少ないこと。3つ目は体長が12m以下で他のナガスクジラ科の中では小型です。

ほかにも上の写真のように頭部の骨が他のナガスクジラ科の種類とは違う点があるとのこと。

精密につくられた骨格標本

つのしま自然館に展示される全身骨格標本は実際に発見されたツノシマクジラの標本をレプリカにしたものです。レプリカでもかなり精密につくられています。

写真の奥側、左胸の肋骨が途中でぷっくり膨れているのがわかりますか?これはこのクジラが骨折して治った痕跡です。そういった細かい骨の特徴まで再現されたものになっています。

じっくり骨を観察してみると色々な発見があるかもしれませんね。

大自然の中の角島を知ることができる

同館は角島の自然を展示する施設です。館内から見ることができる沢山の海に生息する貝や海藻、魚に島に生える植物なども標本や写真を見ながら知ることができます。

中でも角島の砂浜には世界に9種類確認されている “ユリヤガイ”という小さい貝が生息しています。特定の海藻が生える浅い海の岩礁にしか生息しない希少種です。

館内にはそんなユリヤガイをみつけることができる体験コーナーがあります。とても小さい貝なのでじっくりゆっくり探さないとみつからないので座ってのんびりさがしてみてくださいね。
野鳥や日本海を観察できるスペースがあったりと自然を体感できること間違いなしです。

ここからの景色は角島灯台や日本海を眺めることができて絶景です。
タイミングが合えば写真(上)のような2本かかる虹もみることができるみたいですよ。

施設の近くには映画「四日間の奇蹟」のロケ地になった場所などもあり見どころ満載です。

山口に行った際はすこし足をのばして角島で見つかった幻のクジラについて知りながら絶景巡りをしてみてはいかがでしょうか。

つのしま自然館
住所:〒759-5332山口県下関市豊北町角島893-1
営業時間:9:00~16:30
定休日:毎週火曜日(祝祭日の場合はその翌日)、12月28日~1月4日

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