国産ナガスクジラが半世紀ぶりの出荷! 豊洲市場で展示・商談会を開催 | 耳ヨリくじら情報 | くじらタウン

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2024.09.18

国産ナガスクジラが半世紀ぶりの出荷! 豊洲市場で展示・商談会を開催

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9月13日、東京都の豊洲市場にて、国産ナガスクジラの展示・商談会が開催されました。国産ナガスクジラが出荷されたのは実に半世紀ぶり。それだけ長いこと出荷されなかった理由は、まず、日本がIWC(国際捕鯨委員会)に加盟していたからです。
日本がIWCからの脱退を表明して、商業捕鯨が再開となったのは2019年7月1日のこと。その際、捕獲の対象となったのはミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラです。以降、ツチクジラなどの小型鯨類の捕獲を除いては、この3種類の鯨種のみが捕獲されてきましたが、2024年5月初旬、水産庁は、3鯨種に加えて新たにナガスクジラの捕獲を認める方針を固めました。

ナガスクジラが追加された理由は、IWC脱退以降、クジラの資源調査を続けてきた結果、北太平洋におけるナガスクジラの資源量が十分であることを確認できたため。そこで、同年7月31日には、捕鯨の対象として新たにナガスクジラを追加することを告示して、今年の捕獲最大頭数を59頭と発表しました。その後、8月2日には、岩手県沖で体長19.6メートル、体重55トンのオスのナガスクジラ1頭が捕獲されたのを皮切りに、本格的にナガスクジラの捕獲が再開。今回の展示・商談会では、岩手県沖および北海道沖で捕獲された4頭のナガスクジラの一部がお披露目されることとなりました。

捕獲したナガスクジラは2024年に新造された捕鯨母船『関鯨丸』で解体・冷凍するから鮮度抜群

展示された部位は、いずれも捕獲直後に、今年3月に新造された捕鯨母船「関鯨丸」内で解体および冷凍されていたもの。見た目の鮮やかさも圧巻で、来場者も「こんなに新鮮さを保てるんだね」と驚きを隠せません。

これに関して、主催者である『共同船舶株式会社』の営業部部長・高野雄介さんは、「国産のナガスクジラを出せるのは50年ぶりとあって、当初は不安のほうが大きかったが、『関鯨丸』で解体・冷凍したことによってナガスクジラのポテンシャルを最大限に引き出すことができた。アイスランド産のナガスクジラは55年前から流通しているが、日本での刺身用途としては鮮度がよくないことから、市場評価が低いので、国産のナガスクジラが流通することで評価が変わってくれると期待している」とコメント。

実際、展示・商談会の来場者からの評判は上々で、「クセがなくて食べやすい」「すごくおいしい」とのお褒めの言葉もいただいているといいます。

鯨肉メニューを導入することは、飲食店にとってメリットが大きい

また、同日、別会場で開催されたセミナーには、和食居酒屋『鯨の胃袋』および姉妹店である『鯨の離れ』を運営するほか、加工販売などもおこなうクジラ専門の仲卸会社『株式会社ひとうみ』の代表取締役も務める大越勇輝さんが登壇。
自分の店に鯨肉メニューの導入を検討する飲食店に向けて、鯨肉メニュー導入のメリットを紹介。「海のジビエを取り入れることで他店と差別化できる」「ヘルシーで高タンパクな食材を使ったメニューであることをアピールできる」「調理工程を省略できる」「海鮮料理屋の場合、違和感なく肉料理をメニューに取り入れられる」「刺身ならスピード提供が可能」「料理メニューに注目が集まる」「鯨業者のサポートを受けてメニュー開発が可能」「店舗の売上UPが日本固有の鯨食文化を支えることにつながる」「一皿単価や客単価がUPする」といった多彩なメリットがあることに、参加者一同、興味津々な様子でした。
登壇を終えた大越さんにもコメントを求めると、「これから国産のナガスクジラがさまざまな飲食店で提供されるかと思うと楽しみでしかない。ナガスクジラの捕獲が再開となったことが起爆剤となって、クジラという食材への関心が高まってくれたらうれしい。自分も今日試食させてもらったが、鮮度が抜群だから甘みも強く感じられたし、たくさんの人においしいと言ってもらえると期待している」と笑顔を見せてくれました。

また、試食コーナーには、イワシクジラやニタリクジラとの食べ比べを楽しめるメニューや、ナガスクジラ以外の鯨種の加工品も数多く用意されていましたが、どのメニューも人気で、数分おきに料理が補充されていたほど。高野さんや大越さんの期待通り、今後ますますクジラ人気が高くなることは間違いなさそうです。

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