聞く
くじらタウンに登場するアスリート、記念すべき一人目となったのは、「生まれてこのかた、疲れたことありませんから」の名フレーズでおなじみ、新日本プロレスの棚橋弘至さん。どんなに激しい試合の後も、「疲れてません」と言い切るためには、運動や栄養に気を配り、ストイックな生活を心がけることも必要なはず。そこで今回は、抗疲労成分「バレニン」を豊富に含有する鯨肉を使った料理をぜひとも棚橋選手に食べてもらいたいと、東京都あきる野市のクジラ料理専門店『らじっく』のオーナー、板花貴豊さんに、同店の人気メニューを作っていただきました。
刺身もベーコンも竜田揚げもステーキもおいしすぎるクジラを一頭買いしたい
――今日はお昼どきに合わせての取材ということで、ぜひお召し上がりになりながら感想を聴かせていただけたらと思っております。まずはお刺身についてご紹介ですが、今回は、クジラの頭肉、心臓、ニタリクジラの赤身、ニタリクジラたたき、ミンククジラベーコン、ミンククジラベーコン醤油、ニタリクジラベーコン、ニタリクジラベーコン醤油の8種類ご用意させていただきました。
棚橋「ありがとうございます。いただきます! じゃあまずこの頭肉からいただきますね。……ん~~~、おいしい!! クジラってこんなにおいしいんですね。心臓もおいしい!! コリコリしてて、食感は砂肝ですね。これはおいしい。しかも、臭みが全然ない。赤身は、いかにも筋肉によさそうです。(口に運んで)あーーー! もう筋肉になってますよ、これ(笑) これはマグロの赤身ですね。食感も味もマグロとすごく似てる気がします。たたきもおいしい~~!」
板花「喜んでいただけてうれしいです。ベーコンもぜひ食べてみてください。クジラって青魚と一緒でDHAとかEPAが豊富で、栄養価もとっても高いんですよ」
棚橋「ミンクうめ~~~! おお! ニタリはミンクより歯ごたえがあってコリコリしてるんですね。ニタリ、うまっっ。(スタッフに向かって)すいませーん、お酒お願いしまーす」
――(笑)お酒がほしくなりますよね。
棚橋「なります。ベーコンは歯ごたえがあるところもいい! どっちかっていうとニタリのほうが好きかな。ガッツリ食ってる感じがします」
――続いては「皮の燻製炒め」ですが、こちらはお口に合いますか?
棚橋「最高です! これは酒のアテにも合いますね」
――お気に召していただけてよかったです。ぜひ竜田揚げとステーキもお召し上がりください。
棚橋「竜田揚げうめーーー! やっぱりこう、肉がさっぱりしてるんで、脂分と一緒に食べると、よりおいしくなりますね。ステーキは、見た目はもうまるきり牛ですね。(口にして)……うーん……!! そうきましたか! さすが哺乳類だね。これはちょっとすごいね! 『牛です』って出されたらわかんない人いますよ。まあ、僕クラスになるとわかりますけど(笑) しかし本当においしい。これは……一頭買いします!!」
――一頭買い!(笑)さすがですね。ちなみに棚橋さんは子どものころにクジラ肉を食べたことはありますか?
棚橋「僕らの世代は学校給食でクジラが出てました。竜田揚げとか。給食以外だと、年に一回食べるか食べないかくらい。でも、昔食べたクジラと今日のクジラは全然違う。おいしすぎてびっくりしました」
低カロリーでタンパク質豊富なのに味わいも抜群だから毎日食べたい
――これまではクジラに対してどんなイメージを抱いていましたか?
「もっとあっさりしてるイメージでしたね。脂身が少なくて食感があまりないような。鶏の胸肉とかサラダチキンに近いイメージ。サラダチキンとかって淡泊だから、味わって食べるというよりタンパク質摂取のために食べてるんだけど、クジラだったらおいしいから味わって食べられるよね。毎日クジラでもいい!」
板花「クジラは鶏の胸肉より低カロリーで、タンパク質の含有量は鶏肉より多いんですよ」
棚橋「僕も今日の取材に備えていろいろ調べてきたんですけど、タンパク質の含有量はほんとすごいですよね。僕は今、体重が100kgなんですけど、今の筋肉量を維持するためには1日に100gのタンパク質を摂らないといけなくて、今より身体を大きくするためには、その2~3倍のタンパク質が必要なんです。そうなると、朝昼晩毎食50g摂っても、さらにプロテインを摂らないといけないから大変。それを考えると、低カロリーなのにタンパク質がたくさん摂れるっていうのはすごいことです」
いつでもアミノ酸を摂れるようにクジラ肉を持ち歩きたい
――常にタンパク質のことを考えているんですね。
棚橋「タンパク質はペプタイドやアミノ酸に分解されるんですけど、体内のアミノ酸濃度が下がると、筋肉などの組織が分解される『カタボリック』になるんです。それを防いで、常に身体の組織が新しく合成される『アナボリック』の状態にしておくためにも、2時間置きにタンパク質もしくはアミノ酸を摂るようにしてるんですけど、今度からはクジラ肉を持ち歩きたいですよ」
――ジャーキーなんかもありますし、ぜひ持ち歩いてほしいです!
棚橋「クジラってスケール感がいいですよね。牛を食べるときは牛の大きさをイメージしながら食べると筋肉も大きくなる(と思ってる)んですけど、クジラを食べるともっと大きくなると思うんです。クジラばっか食べてたら、スケールの大きな男になりますね」
――それは名言ですね(笑) ちなみにクジラに関して気になる点はありますか?
棚橋「コスパですよね。身体作りって、今日栄養摂ったらあした摂らなくていいっていうものじゃなく、決まった量を摂っていきたいんで。僕が独自に計算した『タンパク質指数』でいうと、コンビニとかで売ってるプロテインバーは、タンパク質が10g入ってて150円だから、タンパク質1gあたり15円くらいなんですね。その考えでいくと、タンパク質1gが10円切ってると非常にいい。タンパク質は基本高いので、気軽に買える値段だと手が出やすいと思います」
――確かにそれはそうですよね。お肉を買ってきて自分で調理することもあるんですか?
棚橋「はい。自宅でも料理します。家族と別メニューなんですよ。自分だけ栄養素を計算したメニューになるので、道場か自宅で作ってます。クジラ肉を買ったとしたら、ぱぱっと作ってぱぱっと食べられるステーキが一番料理しやすそうですよね。おいしいし、夜なんかはステーキをアテに晩酌したい。基本的に食べることが好きなんでたくさん食べたいんだけど、カロリーで計ると量的には少なくなるけど、クジラならたくさん食べられる!ほんと、クジら肉最高ですね!」
カロリーを気にせず食べられるから、女性にもすすめたい
――食べることがお好きでしたら、普段からいろんなものを召し上がっていらっしゃるのですか?
棚橋「そうですね。いろんな食材からタンパク質摂ったほうがいいって考えてるので、ちゃんこだったら豚も鶏も入れて、副菜では牛を摂ったり。卵とか植物性たんぱく質も摂りますよ。その筆頭にクジラがカウントされるようになるといいですよね。現状、入手しやすさに関してはアドバンテージがないと思うんで、クジラを入手しやすい環境を作りたいです。もしくは、食べに行けるお店が増えたらいいですよね」
――外食でつまみながら身体にいい栄養を摂れたらうれしいですよね。
棚橋「そうですよ。どうせ食べるなら栄養価が高いほうがいい。バレニンもたっぷりですしね。といっても僕は生まれてこのかた、疲れたことがないんですけど(笑)、ひょっとしたら自分の体内でバレニンを生成してたのかなと思います。でも、さらにスタミナをつけるためにも積極的にバレニンを摂取したいし、最近疲れてるなという人にもぜひクジラを食べてほしいですね」
板花「うちのお店にいらっしゃるお客さまたちも、『食べたら疲れが抜けて身体が軽くなる』って言ってましたよ」
棚橋「体感されてるんですね!いいですね!」
――さきほど、「くじらを食べるとスケールの大きな男になる」の名言をいただきましたが、女性にはどんなふうにクジラをすすめたいですか?
棚橋「カロリーが気になる女性にはうってつけですよね。低カロリーで高たんぱくだから、ダイエット中でも気にせず食事を楽しめるんじゃないかな」
クジラを食べてチャンピオンに返り咲いた暁には、リング上で「ホエール、愛してます」って“吠え”てきます!
――棚橋さんご自身、今後、クジラ料理をいろいろ楽しんでいきたいですか?
棚橋「もちろん!でも、今回資料とか調べたところ、低カロリーで栄養価が高いのに脂質は少なくていいとこだらけなことがわかったので、他の新日本のレスラーには教えない!! 道場で食べてるときに『何食べてるんですか?』って訊かれても、『牛です』って言っちゃいますね(笑)。ほんと、クジラ肉には惚れ込みました。“100年に一つの逸肉”でございます。味と栄養価に関しては満点なので、あとはコスパを抑えて、入手しやすい環境を整えられたらいいですよね」
――最後に、ファンのみなさまに一言、メッセージをお願いします。
棚橋「僕は今年44歳になって、プロレスラーとしてはベテランの部類に入ってるんですけど、クジラ肉を食べて身体を作り直して、もう一度、スケールが大きいチャンピオンになります! チャンピオンに返り咲いたらクジラのおかげ。リング上で、『ホエール、愛してま~す』って“吠え”てきますよ!」
■ 棚橋弘至選手
1976年生まれ。新日本プロレス所属。メインイベント勝利後リング上で大会を締める際の決め台詞「愛してま~す!」が有名。IWGPヘビー級王座に8度君臨。第56代IWGPヘビー級王者時代には当時の最多防衛記録である“V11”を達成。